2013年6月23日日曜日

Beady Eyeニューアルバム、『BE』全曲レビュー!

はい、お久しぶりです。どうやら今回の記事でこのブログ100件目の記事みたいです。更新もサボりがちなこのブログですがこれからも細々と頑張って行きたいと思います笑


というわけで今回は、先日6/5に発売されたBeady Eyeの2ndアルバム『BE』の全曲レビューなんぞやってみたいと思います。


・Beady Eye - 『BE』  発売日:2013年6月10日(日本盤は6月5日に先行発売)
・個人的評価:69/100点
 ・収録曲:
1, Flick Of The Finger
2, Soul Love
3, Face The Crowd
4, Second Bite of The Apple
5, Soon Come Tomorrow
6, Iz Rite
7, I'm Just Saying
8, Don't Brother Me
9, Shine A Light
10, Ballroom Figured
11, Start Anew
・・・以下日本盤ボーナストラック・・・
12, Dreaming of Some Space
13, The World's Not Set in Stone
14, Back After The Break
15, Off At The Next Exit
16, Girls in Uniform
17, Evil Eye


まず、全体を通して聴いた感想から。各所で言われていることですが、まずやっぱりリアムのボーカルが暖かいというかリアル。前作『Different Gear, Still Speeding』では、リアムのボーカルにディレイ処理や荒めのフィルター処理などをわざと施したりするなど、リアムのボーカルを際立たせるためにいろいろなエフェクトが加えられていました。実際のライブでも過剰とも言えるほどのディレイとリヴァーブ処理が施されており、自分が参加した来日公演では、ライブ自体は大変素晴らしかったものの、一部でそれが賛否両論となっていました。それに比べて今作はボーカルに対するエフェクト処理が最低限。ヘッドホンなどで聴くと耳元でリアムが歌っているように思えるくらい、リアムのボーカルが近くて生っぽく感じられます。メンバーも雑誌のインタビューで意図的にそういう処理にしたと言っていたので、この判断はなかなか良いと思います。
次に曲の全体的な印象。はっきり冒頭で言ってしまえば、地味な曲が多い。前作よりもポップさは控えめです。よく言えば大人なサウンド、悪く言えば中途半端に感じられます。 これはリアムの曲にありがちですが、もっと上がりきってはじけてほしい所ではじけない、サビに持っていけば気持ちいいだろうにというところで持っていかない。逆に曲がそろそろ終わるかなという所で新たなフレーズが始まって、それ自体は冒険的で大変素晴らしい所なのですが、特に新しいフレーズが出てくる訳でもなく、延々と同じ旋律がSEのように流れ続けて終わりというのもあります。今作を表現する時によく使われている「宇宙的」なサウンドはたしかにそこで感じられます。そういう初期〜中期のPink Floydを意識したんだろうなぁというようなサウンドが出てきたりしますが、決定的な違いはここ。長い旋律を出すにしてもPink Floydに比べてやはり展開が上手くない。聴いてて「何か来るかな!?」というとこで特に何も起きず、肩すかしになってしまいがち。

 
冒頭からちょっと厳しめなこと書きましたが、次に個別の曲を見ていきたいと思います。
まず1曲目のFlick Of The Fingerから。今作の中では一番最初に発表された曲ですね。力強いブラスと一定のリズムを重く刻み続けるドラム、そして最後に流れる人のナレーションが印象的な曲です。これを何回も聴いて思ったことは「1曲目として素晴らしい。しかし、1曲目以外の箇所にこの曲が来たらちょっと・・・」ということですかね。この曲を聴いてoasis時代のアルバム『Dig Out Your Soul』の1曲目Bag It Upを思い出したのですが、あれは途中の展開含め、アルバムを始める1曲目としてまさに最高です。ワクワクします。そしてあれ単体でも良い曲だと思います。しかし、Flick Of The Fingerはリアムのボーカルメロディーに展開がなく、同じフレーズを繰り返してるだけなので、単体であれだけ聴かせて絶賛できるかというとそうでもない。ブラスの迫力でもっている曲な気がしました。先日始まったツアーでもセットリストの1曲目に置かれているようでそこに配置した判断は正しいかと。ライブアレンジでは迫力が3割増くらいになる曲なので、生で聴くのが楽しみです。

次に2曲目Soul Love。個人的に今作の中で気に入っている曲の一つです。冒頭から始まる下降フレーズと曲全体を包む不安定に浮いたようなキーボードがダークな印象を形作っています。『宇宙的』な印象はこの曲から始まる感じです。こういう曲はoasis時代からあるようでなかった曲なので何回も繰り返して聴いちゃいます。曲の中盤と最後に流れる、SEとグロッケン(鉄琴)、そして暗い底の方から聴こえるような空間系のエフェクトを入れたギターフレーズ達が混じりあった感じが最高です。

3曲目のFace The Crowd。途中のワウペダルを使用した激しいギターソロ含めて、かなりロックしていてかっこいい曲です。ちょっとラリったようなリフが気持ちいいです。サウンドはoasis時代のI Believe In Allの延長路線な印象ですが、クオリティはそれより良いです。ライブで聴いたら盛り上がれるだろうなぁと容易に想像がつきます。
ただ、ひとつ言うなら、2曲目のSoul Loveがせっかく創りあげたダークな空気感を一瞬で派手に壊しちゃってるのが何かなぁという感じです。この次に控えているSecond Bite Of The Appleが空気感を大事にした始まり方をしているので、余計うーん・・・という感じです。場所がもったいないかなぁ・・・。

 4曲目のSecond Bite Of The Appleは今作では2つめに発表された曲。Flick Of The Fingerのようなブラスを主体にした重いサウンドですが、リアムのボーカルフレーズを中心にメロディーがより洗練されていて、展開もちょっと暗めの始まり方からサビでブラスを中心にぶち上げていくので、Flick Of The Fingerに比べてよく練られていると思います。個人的にはシングルということもあって大好きな曲ですね。テレビ番組とかでも早速よく演奏していますね。実際、曲の展開がはっきりしているので、シングル向きで、oasisっぽくないサウンドでキャッチーな楽曲を作ることに成功しています。

5曲目はSoom Come Tomorrowは前曲の余韻を残したまま静かにアコギから始まるバラード曲。しかし、いかんせんメロディーが単調かなぁという気が。曲の後半に控えるエモーショナルなギターソロ以降はかなり雰囲気も良いのですが、前半部分がなぁ・・・。このギターソロからの展開がとにかく曲の核になっていて、極論を言ってしまえばそれのためだけにあるような曲のような印象を受けました。

6曲目はIz Rite。個人的に全曲中最も「oasisっぽい」楽曲です。90年代ブリットポップを彷彿とさせるポップなメロディーが特徴です。リアムのボーカルも他のメンバーのコーラスも爽やかで、夏とかにぴったりな感じです。この曲こそシングルで出すべきだったという声もあるくらい、世間的評判も良いようです(それじゃあBeady Eyeのサウンドがoasisと差別化できないけど笑)。サビのキーが少し高くなるが、ライブでリアムが頑張れるか期待します笑

7曲目はI'm Just Saying。これも前曲に続き90年代のoasisっぽいサウンド。メロディアスなロック曲です。アンディがインタビューで「Morning Gloryみたいな曲を期待する人達へのプレゼント」と言っていましたが、サウンドやメロディー的にはMorning GloryよりかはむしろHelloとかに近いかなぁと思いました。正直Iz RiteとI'm Just Sayingがなければ、アルバムがかなり中だるみしてそうなので、これらの楽曲が収録されたのは良いことかと。この曲も評判が良いのでライブでの生演奏がとても楽しみです。

8曲目はDon't Brother Me。タイトルが発表時から「ノエルに向けて書かれた歌ではないか」とか話題になっていました。曲自体はベースフレーズが印象的なバラードで、ちょっとだけ暗めというか切ない感じのボーカルメロディーが主体になっています。後ろで鳴っているキーボードやSE、テープの逆回転がSoul Loveなどに見られる「宇宙的」サウンドをまたしても作っており、アルバムの雰囲気作りに一役買っています。 曲の後半からはリアムのボーカルが終わって、それまで後ろにいた宇宙サウンドが前に出てくるインストになります。そこには『神秘』をリリースした頃のPink Floydっぽさも感じられます。さらにシタールも加わり、よりサイケデリックなサウンドになっていくのですが、ここの展開が正直ちょっと単調。特に何もなく同じフレーズを繰り返すだけで終わり。せっかく良い感じのサウンドを作り上げているんだから、もっと展開させても良いのになと感じました。曲自体はシンプルながら悪くないと思うのでここは非常に残念です。

9曲目はShine A Light。全くサウンドは違いますが、ストーンズとかにも同名の楽曲ありますね笑 早めのストロークを見せるアコギと独特のリズムを取るドラムが印象的な楽曲です。ちょっとサウンドが3曲目のFace The Crowdに似てますが、途中からはピアノやメロトロンが加わってゲムやアンディのコーラスと共に楽曲がサイケになっていきます。ライブでこれをどうアレンジしてくるか楽しみな一曲です。ボーカルのフレーズはシンプルなのですが、楽器隊の音やリズムが聴いていて飽きないように工夫されています。『Don't Believe The Truth』以降のoasisのサウンドに通ずるものを感じます。

10曲目はBallroom Figured。うーん、正直この曲が全楽曲中最も印象が薄い。ひたすらアコギ一本に対してリアムが歌っている感じ。リアムが楽曲デモをアコギ一本で録っているのをそのまま収録した感じ。アコギ一本なので、特に興味深いエフェクトが聴ける訳でもありません。アコギ一本で歌わせるなら、ノエルの独壇場なだけに余計比べてしまいます。ロックスターとしてのリアムはこの曲にはどこにもいません。ボーカルも単調。ボーナストラックの方により出来が良い曲があるので、この曲のアルバムへの収録意義がますます疑問です。

11曲目、アルバムラストを飾るのはStart Anew。一個前の曲の出来が正直?だけにちょっと不安でしたが、アルバムはこの曲で持ち直しています。 最初はアコギとキーボードに支えられてシンプルにリアムが歌いだすのですが、途中からストリングスやSE、空間系エフェクターを効かせたギターなどが加わってだんだん壮大になっていきます。アルバムラストの曲中構成が「地味→壮大」という流れになっているのは、前作に引き続き、もはや恒例な感じ。特徴的なサビがある訳でもないですが、曲を構成するサウンドが良いのでアルバムの〆にはぴったりかと思います。ライブ本番ではさらに化けてほしいですね。


というわけでアルバム本編の各楽曲の個人的レビューはここまで。 ボーナストラックのレビューはまた後日。各楽曲の基本はアコギなどシンプルですが、その上にSEやストリング、キーボードが乗っかっている感じです。Beady Eye初めて聴く人にお勧めするなら1stのほうが良いかなぁという感じですが、oasisとは違うサウンドを目指すという姿勢は1st以上に感じられます。この路線で曲のクオリティがもっと上がればさらに良いかと。ツアーが先日始まったので、セトリに大量に入れられている今作の曲がライブを何回も経ることでどんどん化けてくれることを期待します。