2012年8月31日金曜日

Live @ Big Egg 1st Night

もう、8月も終わりですね、早いのなんのって・・・。



「Live @ Big Egg 1st Night」  2CD  録音:AUD/A+

Disc 1
1, I Want To Tell You
2, Old Brown Shoe
3, Tax Man
4, Give Me Love
5, If I Need Someone
6, Something
7, What Is Life
8, Dark Horse
9, Piggies
10, Pretending
11, Old Love
12, Badge
13, Wonderful Tonight

Disc 2
1, Got My Mind Set On You
2, Cloud Nine
3, Here Comes The Sun
4, My Sweet Lord
5, All Those Years Ago
6, Cheer Down
7, Devil's Radio
8, Isn't It A Pity
9, While My Guitar Gently Weeps
10, Roll Over Beethoven


1991年のジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンによる奇跡のジョイント・ツアーがここ日本だけで12公演行われました。ロックファンなら誰でも一度は耳にした事がある超大物2名が一度に来日するとあって、とても話題を呼んだようです。特にジョージに至っては、来日公演をするのは1966年のビートルズ来日以来!そもそもツアー自体に出るのも17年ぶりだったようです。


そんな歴史的来日公演のうち、10公演目の東京ドーム公演初日をオーディエンス録音で完全収録したブートが今回ご紹介するタイトルになります。
ライブをこなして慣れてきたせいか、ジョージ本人も来日公演序盤に見られた緊張感が無くなり、MCも「ドウモアリガトウ〜!」など日本語MCを連発していていくぶんリラックスしている様子がうかがえます。ただ、Taxmanをプレイする前のMCで「次はビートルズのRubber SoulからTaxmanだ!」と言っているのは、考えにくいですが単なる勘違いなのか、それともかつて「Revolverは僕の中ではRubber Soulの続編なんだ。」と発言していたジョージ個人の考え方によるものなのでしょうかね?


セットリストも豪華です。ビートルズ時代を含めた彼の全キャリアの中から選曲がなされており、途中に数曲クラプトンの曲を入れるというサンドイッチ形式になっています。もちろんクラプトン曲のボーカルはクラプトン本人です。二人の曲を一度に聴けるとあって、お得感もありますねww
さらに、セットリストに含まれるビートルズ曲も、ちょっとマイナーな曲から有名曲までバランスよく配置してあって、好感が持てます。


聴き所は、いろいろありますが、終盤のWhile My Guitar Gently WeepsとRoll Over Beethovenの2曲はやっぱりかなり熱いです。前者はビートルズの録音時からクラプトンがギターを担当した歴史的名曲ですし、後者はこの日14分近い演奏になっていて、各楽器のソロやオーディエンスへのコール&レスポンスなどもあったりして盛り上がりがハンパないです。あと、個人的にはソロアルバム「All Things Must Pass」の収録曲が聴けるのが嬉しいですねぇ〜。


音質も、1991年という年代と東京ドームという劣悪な音響環境を考えれば、かなり良い録音であると言えます。たまにオーディエンスの歓声に演奏が埋もれて聴こえる事がありますが、全編を通して良好な音質です。Here Comes The Sunなどのアコースティックな曲の録音は絶品です。


この日は、来日ツアーの中でもトップクラスの演奏だったと言う人もいるほどで、パフォーマンス、そして音質共に良好なこのブートは非常にオススメです。オフィシャルで出ている来日公演のCDは、クラプトンの曲をばっさりカットしていますし、Roll Over Beethovenの間奏も一部カットしてあるので、やっぱ物足りなさがあります。
あと、CD-RではなくてきちんとプレスCDになっているのもデカいですね^^


2012年8月28日火曜日

Live At Leeds Festival 2000

oasisのブートを眺めていると、2000年のツアーはオフィシャルからFamiliar To Millionsというライブ盤がリリースされているので、まぁこのツアーのブートはいらないかぁなんて思ってしまいがちですが、いやいや、名演があるんです。

今回ご紹介するのは、2000年の「Standing On The Soldier Of Giantsツアー」の最後の公演だった8/28のリーズ・フェスティバルでの音源です。そしてこれ、oasisファンにはかなり思い入れの深いライブになっています。というのもこの年は、90年代のoasisの圧倒的な大成功とは打って変わったかのように新作の売り上げが伸びず、世界ツアー自体もメディアに「壮大なリハーサル」と揶揄され、さらにはツアー途中では一時的にノエルがバンドから脱退するなどのトラブルが続発していたからです。こうした状況から「このツアーが終わったらoasisは解散するだろう」という説まで流れていました。


そんな中迎えたツアー最終日のライブがこれです。元々この日のブートは、当時BBCがネットで放送した音源が元になった「We'll Meet Again」、オーディエンス録音の「Live At Leeds」という2つのタイトルが主に有名でしたが、

・「We'll Meet Again」  1CD-R  録音:SBD/A−
①Fuck'n In The Bushes, Go Let It Out, Who Feels Love?の3曲が放送されず未収録。②基本的には聴ける音質ではあるが、ところどころでネット放送音源特有のシャリシャリ音やノイズがあり、あまりにそれが酷いWonderwallはカット。

・「Live At Leeds」  2CD  録音:AUD/B+~A−
①完全収録している代わりにステージから離れたところで録音された為に音質と臨場感の点で劣る

という欠点を抱えていました。今回ご紹介するのは、前者と同じネット音源が元で未収録曲もあるものの、シャリシャリ音やノイズが大幅に無くなっており、Wonderwallも収録されているという改訂版の音源です。サウンドボード音源なので聴きやすいですし、ノイズ問題などがかなり改善されているのはポイント高いです。集中してライブを鑑賞する事ができます。以下改訂版の収録曲です。

1, Supersonic
2, Shakermaker
3, Acquiesce
4, Step Out
5, Gas Panic!
6, Roll With It
7, Stand By Me
8, Wonderwall
9, Cigarettes & Alcohol - Whole Lotta Love - Oh Well
10, Don't Look Back In Anger
11, Live Forever
12, Hey Hey, My My
13, Champagne Supernova
14, Rock 'n' Roll Star (Failed)
15, Rock 'n' Roll Star


内容は今までoasisファンの間で散々語り継がれてきたように本当に熱い演奏です。Supersonicを始める前には、ノエルが「これは葬式なんかじゃないんだぜ!」といってオーディエンスを煽ります(このライブ全編を通してリアムとノエルがライブを盛り上げようとかなり張り切ってますね。リアムのMCも饒舌です)。
そして、一番の聴き所はラストのRock 'n' Roll Starでしょう!まずは曲前のMCで「俺たちは帰ってくる。それがいつか、それがどこかは分からない。けれど俺たちは戻ってくる!」と解散を否定!さらにいつも通り演奏を始めるのですが、50秒過ぎたあたりで急にノエルが演奏を止めます。そして「おい、これがこのツアーのラストソングだぜ?もっと盛り上がれよ!」と観客を煽って、もう一度頭から演奏を再開します。これがかなり勢いのある演奏でたまりません!あまりにすごい勢いで曲に突っ込んだ為にギターソロ前の場面でノエルが曲構成を間違えそうになりますが、そんなのおかまいなしに突っ走ります。さらにノエル、アウトロではシャウトまでしてます。普段ライブで感情を爆発させる事がない人なので、よっぽど演奏に興奮してたんでしょうね。


この改訂版の音源、まだブートCD化されてはいないようですが、ぜひしてもらいたいですね。ファンなら必聴の激熱ライブです!現段階では「We'll Meet Again」の入手が割と容易ですのでオススメしておきます。未収録曲やノイズはあるものの、基本的には聴ける音質です。


●参考画像

・「We'll Meet Again」


・「Live At Leeds」



2012年8月27日月曜日

L.A. Friday

はてさて、今日はストーンズのオフィシャルブートでもご紹介しましょうかね。


「L.A. Friday」  録音:SBD/S

1, Honky Tonk Women
2, All Down The Line
3, If You Cant Rock Me
4, Get Off Of My Cloud
5, Star Star
6, Gimme Shelter
7, Aint Too Proud To Beg
8, You Gotta Move
9, You Can't Always Get What You Want
10, Happy
11, Tumbling Dice
12, Band Intros
13, It's Only Rock'n Roll
14, Heartbreaker
15, Fingerprint File
16, Angie
17, Wild Horses
18, Outa Space
19, Brown Sugar
20, Brown Sugar
21, Midnight Rambler
22, Rip This Joint
23, Street Fighting Man
24, Jumpin' Jack Flash
25, Sympathy For The Devil



ちょいと数ヶ月さかのぼってしまいますが、4/2にStones Archiveから突如、1975年7月13日のライブ音源を配信することが発表されました。今までStones Archiveは73年のブリュッセル公演、81年のハンプトン公演をオフィシャルブート化して配信してきましたが、今回のもまたすんごい音源。なぜなら、この日の音源、従来はマイク・ミラードというテーパーが録音した高音質オーディエンス録音がブートとして君臨していたからです。星の数ほどあるストーンズのブートの中でも特に有名な音源と知られていましたが、まさかオフィシャル側がこの日のライン録音のサウンドボード音源を持っているとは・・・。恐るべしです。

しかも付けられたタイトルも面白いです。上で述べたオーディエンス録音の音源も当時「L.A. Friday」の名で発表されたのですが、ブート業者が日付を間違ってつけたためにこのタイトルで出回ったのでした(実は7/13は日曜日。7/11が金曜日でしかもライン録音が存在している日なので、今回のオフィシャル発表でも最初多くのファンは文字通り7/11の方の音源が配信されるのかと勘違いしたそうです)。オフィシャルがブートのタイトルをそのまま拝借するっていうのも面白いですねww


肝心の内容ですが、やっぱ長年愛されてきたライブ音源だけあって、良い出来です。パーカッション隊をバックに引き連れて、ロニーもキースもとにかく弾きまくってます。今じゃあ聴けないような充実っぷりですね。脱退したミック・テイラーの後釜として、彼に負けじと弾いて弾いて弾きまくるロニーが頼もしいですな。セトリも一曲目のHonky Tonk WomenからラストのSympathy For The Devilまで荒々しいロックンロールが満載です。文句なしの豪華セトリ。


あまりのテンションの高さにHappyなどではキースが小節数をミスって完全にグダグダの演奏になっちゃってますが、そこはご愛嬌ww
そういうミスはたしかにあるものの、ライブのノリがとにかく素晴らしく、一瞬たりとも聴き逃せませんね。オーディエンスとミック・ジャガーのやり取りはちょっと怖さを感じるほどテンションが高いです。

さらに注目すべきは、このツアーに参加したビリー・プレストンの存在!ビートルズのルーフトップコンサートなどでもおなじみの彼ですが、このツアーではサポートキーボードとして参加していて、ライブ途中にはストーンズのメンバーと一緒に自身の持ち曲、That's LifeとOuta Spaceの2曲をボーカルしています。特にOuta Spaceのノリがヤバいです。ファンキーで超かっこいい!続くBrown Sugarへそのままなだれ込むような展開も必聴です。

ちなみにこの日、ラストのSympathy For The DevilではゲストギタリストとしてJesse Ed Davisが参加しています。ソロを弾く順番は、ロニー→キース→ジェシの順ですが、いやあどれも良い出来ですわ。それぞれの個性がソロに出てて面白いですよ。ずっと聴いてたい。


もしストーンズをまだ聴いた事がない、もしくはハマった事がない人には、73年のブリュッセル公演と共にこのロサンゼルス公演のライブ音源を断然オススメしますね。超絶ロックンロールが24曲(約2時間半)も楽しめる優れものです。

2012年8月21日火曜日

PROJECT KAOS

今回は、Roger WatersがPink Floydを脱退してからのソロにおけるライブブートでもご紹介しましょうかね。


「PROJECT KAOS」  3CD-R  録音:AUD/A+

Disc 1
1, Introduction (With Jim Ladd)
2, The Firm - Radioactive
3, Call From The Hall (1)
4, Club Nowhere
5, Call From The Hall (2)
6, Paul Carrack - Tempted
7, Radio Waves
8, Welcome To The Machine
9, Who Needs Information
10, Money
11, Professional Bimbo School
12, In The Flesh
13, Have A Cigar
14, Pigs(3 Different Ones)
15, Wish You Where Here
16, Mother

Disc 2
1, Mollys Song
2, Me Or Him
3, The Powers That Be
4, Intermission with Jim Ladd
5, Calls To Roger
6, "Shredding Alternative" Advertisement
7, Going To Live In LA
8, Sunset Strip
9, Fish Report With A Beat
10, Take Your Filthy Hands Off My Desert
11, Southampton Dock
12, Arnold Layne Video
13, If
14, Every Strangers Eyes
15, Not Now John
16, Another Brick In The Wall, Part I
17, The Happiest Days Of Our Lives
18, Another Brick In The Wall, Part II
19, Nobody Home

Disc 3
1, Home
2, Four Minutes
3, The Side Is Turning
4, Thank You
5, Breath(In The Air)
6, Brain Damage/Eclipse (ここまでが本編ミルウォーキー公演。以下ボートラ)
7, 5:01 AM(The Pros And Cons Of Hitch-Hiking)-Roger Waters Vocals
8, Set The Controls For The Heart Of Sun
9, Breath(In TheAir)/The Great Gig In The Sky-Clare Torry Vocal
10, I Can Tell(Bo Diddley Cover)
11, 5:01 AM(The Pros And Cons Of Hitching)-Paul Carrack Vocals
12, Billy's Blues(Waiting For The Drummer)
13, Outside The Wall-Guest Vocals John Joyce, Jim Haas & Joe Chemay


ブートタイトルと緑が目立つジャケからもお分かりの通り、このブートは、以前こちらの記事でご紹介した1987年のソロアルバム「Radio K.A.O.S.」に伴うツアーのブートです。オーディエンス録音で11/13のミルウォーキー公演を完全収録してあります。さらにボーナスとして同ツアーの他のライブでの音源を全てオーディエンス録音で収録してあり、これ一つでツアーの全貌を楽しむ事が出来るボリューミーな内容となっています。このツアーのブートはほとんど発掘されていないようなので、ありがたいですね。

そして気になるのはその音質ですが、本編のミルウォーキー公演・ボーナストラック共に素晴らしい高音質です。Another Brick In The Wall, Part IIなどで一瞬音が片方のチャンネルに寄ったりする事がありますが、基本的には終始安定したサウンドでライブを聴く事が出来ます。ボーナスのBilly's Blues(Disc3-12)のみ、ちょっとオーディエンスの歓声に演奏が埋もれがちですが、それでも十分聴ける範囲です。


では、ショー自体はどのように進められたかというと、架空のラジオ局Radio K.A.O.S.のDJという設定の人物、ジム・ラッドがあたかもラジオ番組を放送しているかのような演出でライブが行われました。アルバムストーリーにおける主人公ビリーとの電話のやり取りを演じるシーンがあったり、実際に観客の中から人を選んでステージ上でインタビューを行ったり、視聴者からのリクエストという設定で全く別のアーティストの曲を流したり、CMが途中に入ったり・・・といった具合でかなり凝った演出だったようです。実際聴いていると随所にDJジムのトークが入りますし、ロジャー達のライブ演奏もジムの曲紹介があったりします。個人的に面白かったのはフロイドのデビューシングル「Arnold Layne」が会場に流されたこと。どうやらPVが会場に流されたようで、観客も沸いてます。


こうして聴き所満載なライブなのですが、いかんせん演出の都合上かなり長尺のライブ(130分以上)となっています。しかもロジャーたちの演奏以外の箇所(DJジムのしゃべり、リスナーとのトーク、インタビュー、視聴者リクエストなど)がかなり多く、はっきり言ってロジャー達の演奏のみを聴きたい方にとっては少々退屈に感じられるところがあります。このブートをリリースしたAyanamiレーベルは、きちんとそこらへんをトラックで区切ってくれてますので、演奏と直接関係ないところは飛ばしてしまっても良いでしょうね。
そして、「いかにも」な80年代ロックサウンドにアレンジされているフロイド時代の曲も一部ありますが、そこは個人の好みでしょうかね。


とはいえ、壮大なステージをフルで高音質収録している功績はデカいです。結構フロイド時代の曲もプレイしてますので、ソロとフロイド時代の曲がうまい具合に組み込まれたセットリストはお腹いっぱいになれると思いますよ^^
ボーナストラックもあのボ・ディドリーのカバーなど超レアな音源ばかり!CD-Rという点を除けば、かなりクオリティの高いブートですので、個人的にはオススメです。


2012年8月19日日曜日

Trouble Star

1998年に3rdアルバムBe Here Nowの世界ツアーを終えると、バンドは休暇に入りました。そしてここからoasisに取っては少し辛い時期が始まる事に・・・。

まず、今までoasisを支えてきたボーンヘッドとギグジーの2人がまとめてバンドを脱退する事が発表されました。そこまでテクがあるわけではないですが、デビュー前からギャラガー兄弟と行動を共にしてきた彼らの脱退は痛いものです・・・。
そしてプライベート面でもゴタゴタが。リアム・ノエル共にこの時期に離婚を経験しています。

こんな混乱の中ではあったものの、とりあえずニューアルバムの製作に乗り出さねばならんということで、ノエルはあらかじめある程度録音してあったボーンヘッドとギグジーのパートを全て自分で録音し直します。そしてその後、新たなギタリストとしてゲム・アーチャーが、ベーシストにあのRideのリーダー、アンディ・ベルが加入しました。


こうして発売された4thアルバム「Standing On The Shoulder Of Giants」は、2000年2月に発売され、UKチャート一位を獲得。SEやシンセを目立たせたサウンドは今までのoasisにはない目新しい感じのサウンドでした。しかし、なにか上手くいってない・・・。そんな暗い雰囲気が漂うこのアルバムは、チャートでは一位を取ったものの、今までの3枚のアルバムと比べて売り上げが大きく下回っていました。後にノエルはインタビューでこの時期の事を「本当に作曲意欲が失せていた最悪の時期」と語っています。


そんな中、ツアーがスタート。新生oasisはここ日本からワールドツアーを開始します。前置きが長くなりましたが、今日ご紹介するのは、その中で「悪夢」と言われる公演を収録したブートです。


「Trouble Star」  2CD-R  録音:AUD/A+

Disc 1
1, Fuckin' In The Bushes
2, Go Let It Out
3, Who Feels Love?
4, Supersonic
5, Some Might Say
6, Acquiesce
7, Noel MC
8, Sunday Morning Call
9, Where Did It All Go Wrong
10, Gas Panic!

Disc 2
1, Roll With It
2, Stand By Me
3, Wonderwall
4, Cigarettes & Alcohol
5, Live forever
6, Don't look back in anger
7, Helter Skenter
8, Outroduction


2000年来日ツアーは福岡公演を収録したブートです。このジャケとタイトルでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、ついにリアムが日本公演でもやらかしました・・・。一曲目からリアムの声の調子がおかしいです。Some Might Sayに至っては、ほとんど歌えていません。続くAcquisceでもボーカルはボロボロ。そして1回目のサビが終わった後、聴こえてくるのはノエルのボーカル・・・。そう、リアムがステージを降りてしまったのです。この曲の後、ノエルは「The singer lost his voice.」とMCで謝罪しています。一方ライブのプロモーターは「リアムは休憩してるだけでまた後で出てくる」と弁解しており、両者の食い違いからも会場の混乱が分かります。


その結果、Acquiesce以降の全ての曲はノエルが代わりに歌うことに。その後のライブでセットリストから外されることになるSunday Morning CallやWhere Did It All Go Wrongが高音質で聴けるのはありがたいですが、いかんせんバンドの雰囲気がよろしくありません。他にもGas Panic!やCigarettes & Alcoholのような本来リアムボーカルの曲も含めてちゃんと最後までやりきるのはノエルらしいですが、まぁ、お世辞にも素晴らしい出来とは言えません・・・。


さらに辛いのはライブが全部終了した後のプロモーターの説明。「リアムは最初から体調が悪かった。けど、他のメンバーが1時間以上演奏を頑張ったのでもう終わりにします。」的な呆れた言い訳をしとります・・・。しかもさっきと言ってること違うし・・・。当然会場のオーディエンスは不満爆発。「さっき出てくるって言ったじゃん!」という声も聴こえてきます。


というわけで、2000年来日ツアーの一つを高音質オーディエンス録音で聴けるのはありがたいですが、いかんせんライブの雰囲気が悪すぎていまいち好きになれないブートです。リアムよ・・・。

2012年8月18日土曜日

Noel Gets To The Point -Complete- (Definitive Edition)

oasisブートに関して長い間更新をしていませんでした。すみません・・・w
なので、今回は久々にoasisブートをご紹介!


「Noel Gets To The Point -Complete- (Definitive Edition)」  3CD+4CD-R  録音:Disc1~Disc2-5:AUD/B+, Disc2-6~Disc3-9:SBD/A+, Disc3-10~11:SBD/S, Disc4~Disc5:AUD/C+, Disc6~7:SBD/A


いやぁ、改めてすんごいボリュームです。このブートは、1997年の12/3からアイルランドはダブリンで3日間連続で行われたライブを収録したものです。このライブは、初日の公演を終えた後にリアムにドクターストップがかかったため、残りの2日間をノエルボーカルで臨まなければならなくなったというレアなライブです。長い間このライブ(特に最終日)を収録したブートが廃盤状態だったため、入手が困難だったのですが、betrayer deluxeというoasis専門の新興ブートレーベルが初日と2日目もセットにした改訂版をリリースしてくれたことで入手が容易になりました。


まず、DIsc1からDisc2の5曲目までは2日目の公演をオーディエンス録音で収録してあります。音質はちょっと荒めで、良好な録音まではいかないものの、まずまず鑑賞には耐えうるレベルです。この日は全曲ノエルがボーカルを務めなければならないというプレッシャーからか、ライブ序盤でノエルが緊張しているのが分かります。演奏が固いですw
とはいえ、Stay Youngをノエルボーカルで聴けるなど、かなりレアな音源ですね。ノエルボーカルでこの曲をやったのは、この日だけかと。


続いて、Disc2の6曲目からDisc3の9曲目にかけては、既発で激レアブートと化していた「Noel Gets To The Point」に収録された最終日をサウンドボード音源で収録。モノラル気味の音源ながら、かなりの高音質です。音質もほんの少しだけ既発よりもアップしている気がします。そして慣れてきた為か、ノエルも終始ご機嫌です。
オーディエンスの盛り上がりがこれまた最高で、Stand By Me, D'You Know What I Mean?, Whatever, Don't Go Awayのアコースティックアレンジでは大合唱を聴く事が出来ます。ノエルも所々でオーディエンスに歌を完全に任せて自分は演奏に徹するなどしていて、素晴らしい雰囲気です。
そしてなにより貴重なのは、My Big MouthとThe Girl In The Dirty Shirtの2曲!特に後者はノエルボーカルはおろか、ライブで演奏されたのはこの日だけという激レアな音源です!ラスト2曲のLive ForeverとWonderwallのみ、別ソースのサウンドボード音源から。それまでよりほんの少し音質は落ちますが、その代わりステレオ感は増している音源で、聴きやすいですよ。

Disc3の9曲目と10曲目には、ドイツのラジオ局で行ったノエルのアコースティックライブを2曲収録。どちらも超がつくほどの高音質サウンドボード音源なので問題なしです。特にこの日のD'You Know What I Mean?は初ブート化だそうです。



そして、初回限定のボーナスディスクですが、まずDisc4とDisc5には、唯一リアムが出演できた初日のライブをオーディエンス録音で収録してあります。お世辞にも音質は良いとは言えないですね。あくまで「記録」として聴いた方がいいかと思います。鑑賞向きではないですね・・・。とはいえ、リアムのボーカルを聴く限り、そこまで喉の調子が悪い訳ではなさそうです。なんでだろうね・・・?笑

ボーナスディスクのDIsc6とDisc7には最終日のライブを別ソースのサウンドボード音源で収録してあります。本編でラスト2曲の補填に使われたのと同ソースです。ラジオ番組で放送された音源をそのまま収録してあり、曲間のDJのトークやジングルもカットせずにそのまま入ってます。


全編ノエルボーカル(今までリアムがライブ中にステージを降りて、途中からノエルボーカルというのはありましたがw)で、さらに激レア曲をいくつも聴けるとあって、このブートは本当に貴重と言えます。お店で見つけたら購入の最優先候補の一つに入れるべき。名盤ブートの一つです!
長いので、3日間のセトリはこちらから↓
初日
2日目
最終日


2012年8月16日木曜日

Supernova

はい、夏休みも佳境に入って参りました。自分は先日西新宿に友人と赴きまして、探し求めていたブツをようやくゲットする事が出来ました。今回はそれをご紹介。


「Supernova」  2DVD  画質・音質:DIsc1/A+, Disc2/S


ようやく手に入れる事が出来ました〜!ストーンズ現在最後の来日となっている2006年来日ツアーより、4/2のさいたまスーパーアリーナ公演をプロショットで収録したDVDブートです。これは、過去に一度だけWOWWOWが放送したものが元になっており、画質・音質共に完璧な状態です。2007年の春頃、BFで発売されたようですが、ずーっと売り切れ状態が続いており、廃盤となっていました。しかし、今年の4/2に伝説の1975年ロサンゼルス公演がオフィシャル配信されたことを記念して(と店のポップには書いてありましたw)、BFが再発してくれましたー。ありがたや!!!(たまたま公演の日付が一緒だったんですねw)
しかも再発に当たって、当時5800円だったこのタイトルがなんと1800円に値段が改定されていました。いやぁ、BFに感謝感謝。このHalcyonというレーベル独特のジャケ(キラキラ光るホログラム仕様)も発売当時と同じですね。にしても見づらいジャケです・・・w


本編のライブの内容はいうまでもなく良いですね。メンバーもリラックスした様子で楽しそうに演奏しています。年を感じさせないプレイが素晴らしいです。代表曲はもちろんなんですが、Miss Youとか最高じゃあないですか!ミックの日本語MCも調子良さげww


そして気になるのは、「なんで2枚組なの?」ってこと。実は1枚目はプレ放送バージョン。おそらく関係者からの流出でしょう。2枚目の放送バージョンとさしたる違いはないのですが、いくつか違いを挙げておくと、

①画面の上にタイムコードが表示されている。
②画質・音質共にDisc 2よりも少しだけ荒い。
③各楽器の音のミックスがDisc 2の本編と異なる。

こんな感じでしょうか。まぁ、これだけだったらたいして魅力がないように思えるんですが、重要なのはそのライブが始まる前!この一枚目、最初のチャプターにメンバーが会場に到着した時の映像を収めてあるのですが、これがプロの機材を使用したかなりの高画質。さいたまスーパーアリーナの地下駐車場みたいなところで撮影されているのですが、ストーンズのメンバーがカメラに向かって挨拶してくれたりとかなりフレンドリー。警備の方々もいる中でこのような機材を回しているのですから、これも関係者が撮影したものが流出したのでしょう。ここまで来るとちょっと怖いレベルですねw


というわけで最高の画質・音質でストーンズの来日公演を楽しめるという素晴らしいアイテムです。どうやら放送されなかった曲もないようなので、ライブを完全収録してるという点も好感が持てますね。プレス2DVDで1800円!BFへ急げ!!(笑)



※追記:2006年の来日ツアーに関しては、以前こちらの記事でご紹介したように、東京ドーム公演も美麗プロショットでDVD化されています。これはさいたまスーパーアリーナ公演を収録するに先立って、この東京ドーム公演を機材チェックの為に録画したものが元になっています。これも関係者からの流出と言われています。そのため、オーディエンスの歓声がほとんどミックスされていません、たしかにこっちも高画質・高音質なのですが、臨場感が全くないので、もしどっちを買うか迷っている場合は、今回ご紹介したさいたまスーパーアリーナ公演の方をオススメしておきます(セトリもShe's So Coldの有無など一部違うものの、大体同じです)。まぁ、ブートの質の高さに反して安価なので、両方そろえるってのもファンならありでしょうけどねw(「Naked film」は1000円、「Supernova」は1800円です)。

2012年8月13日月曜日

長浜特製ラーメン850円@六角堂町田店

昼は豚骨ラーメンが食いたいなぁと思い、このお店へ。今まで何回か足を運んだことはあるのですが、立地があんまりよくないせいか、お客さんの数はまばらなことが多いです。
美味しいだけに頑張って欲しい……。

そんなわけで今日頼んだのは1日25食限定の長浜特製ラーメン!
さらにこの店の売りなのですが、博多系豚骨ラーメンの特徴である「替え玉」がなんと2玉まで無料!これは腹ペコ学生には嬉しいサービスです!(^-^)/

店の目の前には大勝軒、さらに町田では有名な家系ラーメンの町田家が隣にあったりとライバル店が多い地区にあるラーメン屋さんですが、おすすめですよー。


2012年8月6日月曜日

In The Flesh

ほい!Roger WatersのアルバムBOX解説もついに第4弾まで来ました。今回は、そのBOXに収録されている「In The Flesh」というライブCD(DVD)をご紹介!!



「In The Flesh」  2CD(同名作品でDVDもあります)

Disc 1
1, In The Flesh
2, The Happiest Days Of Our Lives
3, Another Brick In The Wall (Part II)
4, Mother
5, Get Your Filthy Hands Off My Desert
6, Southampton Dock
7, Pigs On The Wing, Part I
8, Dogs
9, Welcome To The Machine
10, Wish You Were Here
11, Shine On You Crazy Diamond
12, Set The Controls For The Heart Of The Sun

Disc 2
1, Breathe (In The Air)
2, Time
3, Money
4, The Pros And Cons Of Hitch Hiking Part 11 (Aka 5:06 AM - Every Stranger's Eyes)
5, Perfect Sense (Part I And II)
6, The Bravery Of Being Out Of Range
7, It's A Miracle
8, Amused To Death
9, Brain Damage
10, Eclipse
11, Comfortably Numb
12, Each Small Candle



以前、この記事でご紹介したように、ロジャーは「Radio K.A.O.S.」と「死滅遊戯」における連続セールス失敗のショックから、ツアーに出る事をためらっていましたが、1999年、突如ツアーに出る事を発表します。今作はその「In The Flesh」と名付けられたツアーから、2000年6月27日、オレゴン州はポートランドでのライブを収録したものです。


まず目を引くのがそのセットリスト!ソロアルバムの曲はもちろん、Pink Floydの曲が目白押しです。全24曲で2時間半はあるお腹いっぱいのセットリストですね。しかも取り上げているフロイドの曲が、有名曲はもちろんのこと、マイナー曲までまんべんなくやってくれているのです!デヴィッド・ギルモアのソロライブだと、彼は有名曲しかやりませんから、これは貴重です。「Final Cut」の曲をプレイするのはロジャーだけでしょうし、「太陽賛歌」や「Welcome To The Machine」、「Dogs」などがプレイされているのもポイント高し!
そして、ギルモアのライブとよく対比されるのがその演奏レベルですが、このライブ盤では、そこもギルモアに負けていないと思います。ギターにはフロイド時代からおなじみのスノーウィ・ホワイト、クラプトンのツアーにも参加している凄腕イケメンギタリストのドイル・ブラムホール2世、さらにはあの名人アンディ・フェアウェザー・ロウがギターとベース両方で参加しています。「Comfortably Numb」では、後半の長いギターソロで、スノーウィー・ホワイトとドイルの壮絶なギターソロバトルが楽しめます。ギルモアはここを一人で全部弾いちゃう訳ですが、2人で弾き分けるというロジャー版のアレンジも悪くないですよ!
ソロアルバムの曲もセトリの所々に良いタイミングで入ってます。3人組の女性コーラス隊がいい味出してますよ〜。やっぱロジャーのライブにコーラス隊は必須ですな。総勢10人での演奏は、サウンドも豪華。

個人的に不満はほとんどないのですが、強いて言えば、ロジャー・ウォーターズにしてはステージのバックスクリーンに映す映像がかなりシンプルでちょっと見ずらいことことですかね。フロイド時代やこの後のソロツアーにおける視覚効果の凄さを考えるとちょっとシンプルかも・・・。とはいえ、そのぶん演奏に集中できるという点は良いのかもしれません。


ギルモアのとは違う「もうひとつのフロイド」を堪能出来るという意味でも良いですし、純粋に「ロジャー・ウォーターズ」個人としても非常に充実してるライブ作品と言えるでしょう。オススメ!

最後にこのライブでの「Another Brick In The Wall (Part II)」を貼っておきます。良い演奏ですよ^^



2012年8月4日土曜日

Amused To Death

はい、てなわけでRoger Waters Album Collectionの解説どんどん行っちゃいます!今日は彼が1992年に発表したアルバム「Amused To Death」をご紹介!



「Amused To Death」(邦題:死滅遊戯) リリース:1992年


いんやぁ、すんごいタイトル・・・ww
Pink Floydというバンドもそうですが、デヴィッド・ギルモアのソロ作品も含めてなぜか厨二病みたいな邦題が多いような気がしますw
ただ、このロジャーのアルバムに関しては原題とそれほど離れていないので上手い訳し方だなぁと担当の方のセンスを感じますね!

アルバムの内容はというと、相も変わらずロジャー大先生のアルバムですからものすごく暗い内容です。テーマは『TVというメディアは、当時の天安門事件や湾岸戦争などに代表される多くの政治・社会問題をエンターテインメント化してしまった。人々はテレビを通じて戦争を「観戦」する。結局人々は遊び尽くして滅びるのだ。』というもので、テレビ(メディア)が社会にもたらした弊害と一般人のその姿勢をを痛烈に批判しています。このコンセプトはかなりの高評価を得たようで、「(フロイド時代の)The Wall以来の傑作」とも評されました。実際、ロジャー自身もかなり手応えを感じていたらしく、「このアルバムが200万枚売れたら世界ツアーを開始する」との声明を発表。

さらにこのアルバム、あのジェフ・ベックがギターで全面的に参加しております。これが超効いてる!アルバムの質を飛躍的に上げていますね。2曲目「What God Wants, Part I」などに代表される彼のギタープレイはさすがの一言です。不安げな曲調からハードロックな曲までロジャーの表現欲求に見事に応えている気がします。こうして見ると、「ヒッチハイクの賛否両論」におけるクラプトンの採用もそうですが、ロジャー・ウォーターズという人の人脈にはホント驚くばかりです。



と、まぁここまでは良い事ずくめのようなんですが・・・。

やはり、というべきかセールスが・・・。上にも書いたようにロジャー本人は200万枚ほど売れる事を期待していたのでしょうが、実際は1/4の50万枚ほどだったそうです。当然のごとく、ツアーはお預け。極めて質の高い(事実ロジャーが出したソロアルバムの中では一番クオリティ高いです)内容にも関わらず、ライブは行われませんでした。



とはいえ、フロイド脱退以降は、「あともう一押し欲しいなぁ」なんて思う曲が多かったりする中、このアルバムでついにそのモヤモヤが吹っ飛んだ印象を受けます。ジェフ・ベックやスティーブ・ルカサーの力を借りながらも、ロジャー・ウォーターズ節は健在。アルバム自体は暗いテーマながら、「俺たちの知ってるロジャー・ウォーターズが帰って来た!」と思わせてくれる点では、質実剛健なアルバムと言えるでしょうね。
1999年以降のライブで、ロジャーはフロイド時代の曲に混ぜて度々このアルバムの曲(Perfect Sense Part I And II, It's A Miracle, Amused To Deathなど)を披露していますが、歴代フロイド曲と肩を並べても見劣りがしないクオリティなのはさすがです。

もし、ロジャー・ウォーターズのソロアルバムに興味がでてきたら、最初にオススメするのは、このアルバムですね。「死滅遊戯」もっと聴かれると嬉しいですw




このアルバムの代表曲、「What God Wants, Part I」のPVを貼っておきます。ジェフベックが良い仕事してます。動物がたくさん出てきますが、テレビメディアに釘付けになった人々の事を「まるで動物のようだ」と揶揄しているようです。

2012年8月1日水曜日

Radio K.A.O.S.

ほい!今日は前日に引き続き、Roger WatersのAlbum Collection (BOX)に収録された作品の紹介をしていきます。今回はフロイド脱退後のソロ作品としては2作目にあたる「Radio K.A.O.S.」ですね。


・「Radio K.A.O.S.」 リリース:1987年


 えー、突然ではありますが、まずこの作品を語る前に前作「ヒッチハイクの賛否両論(1984年)」以降の彼の活動を考えなければなりません。ロジャーは1986年に「When the Wind Blows(邦題:風が吹くとき)」という絵本をアニメ映画化する際に、そのサウンドトラックを担当しています。主題歌はDavid Bowieが手がけたようです。

 そしてこのアニメ作品のストーリー自体がかなり深刻なものであり、「主人公は、イギリスの片田舎で静かな年金生活を送っている老夫婦のジムとヒルダ。しかし、世界情勢は日に日に悪化していき、ある日核戦争が勃発する。二人は政府が発行したパンフレットに従って、保存食を用意しシェルターを作るなどの準備を始める。そして突然、ラジオから3分後に核ミサイルが飛来すると告げられる。命からがらシェルターに逃げ込んだ2人はなんとか難を逃れるが、放射線が徐々に2人を蝕んでいく。政府からの救援が来ると信じてやまない彼らは、互いを励まし合いながらも次第に衰弱していく」というものです(Wikipediaより抜粋)。

 このアニメ作品における彼の音楽活動は、彼のソロアルバムに強く影響を与える事となりました。元々「Animals」以降のフロイドにおいて、政治的メッセージを作品に織り込むのがロジャー曲の特徴でしたが、これ以降はその傾向がますます強くなっていきます。


 その結果作られた本作品「Radio K.A.O.S.」は、前作とは違って政治的主張の強いコンセプトアルバムとして完成しました。アルバムストーリーは、「身体的障害を生まれつき持った青年ビリーは、双子の兄に支えられて暮らしてきたが、ある日、兄が殺人事件で命を落としてしまう。悲しみに暮れるビリーは叔父のところへ預けられて生活する事になったが、そこで自分は世界中のラジオ電波と交信できるという超能力を持っている事に気づく。そして様々な電波と交信していくうちに、電波を利用して人々をコントロールしようと企む権力者の存在をも知ってしまう。ビリーは、「Radio K.A.O.S.」という名の架空のラジオ局が様々な革新的な試みを行っている事を知り、彼らにコンタクトをとって権力者の陰謀に立ち向かうのだった・・・」というかなりぶっ飛んだものであります。


 こうして見てみると、フロイド在籍時代や前作「ヒッチハイクの賛否両論」で培われたコンセプトアルバムというお得意の形を土台に、「風が吹くとき」のサントラ製作の影響である政治批判というメッセージ性を上手く昇華して乗っけているのが分かります。自身の完全なソロ作品ではないですが。「風が吹くとき」の続編と捉える事も出来ない訳ではありません。


 しかし、サウンドに関しては従来の彼の作品とは一線を画すものになっているのが特徴です。1曲目からシンセサイザーのデジタルシーケンスが飛び出します。これにはラジオ媒体という作品テーマと当時の音楽シーンの影響が如実に表れています。そのサウンドのせいか、ポップな曲もいくつかあり、おそらくというか確実にロジャーのソロ作品の中では唯一ポップな作品と言えるでしょうねwww
おっ!と思える良曲もいくつかあります。個人的には「Radio Waves」、「Who Needs Information」、「The Tide Is Turning (After Live Aid)」などがオススメです。


 とはいえ、あまりに難解なテーマ(歌詞だけではリスナーが理解できないため、ロジャー本人がブックレットに作品の解説をつけたほど)や、サウンドとは対照的な暗く重い内容が災いしたのか、アルバムセールスは散々たる結果となりました。同時期にロジャー以外のメンバー(デヴィッド・ギルモア、リック・ライト、ニック・メイスン)がPink Floydを再始動させてニューアルバム「鬱」をリリースし、その売り上げ対決が注目されていましたが、勝負にすらならないほど・・・。両者はライブツアーの観客動員数でも勝負しましたが、新生フロイドの圧勝に終わります。結果、これが相当にショックだったらしく、ロジャーは1999年までツアーに出る事を止めてしまいました。


 うーん、たしかに身体障害を持った青年という設定はThe Whoの「Tommy」に通じるところがあるし、ストーリーが大味な気もしなくはないですが、サウンドだけ見たら、まぁ割ととっつきやすいほうだとは思うのですが・・・。曲のクオリティも決して悪くないと思うし、もう少し評価されても良いのでは・・・?

Roger Waters Album Collection : The Pros And Cons Of Hitch Hiking

本日は、最近購入したRoger WatersのアルバムBOXのレビュー何ぞをやってみたいと思います。このBOX自体は去年発売されたものなので、そこまで目新しいものでもありませんが、いかんせん収録されたブツたちのボリュームがものすごいので、結構ネタになりそうな感じです。



はい、まずこんな外観です。そしてこのボックスを開けると・・・?




こんな内容になってます。彼がPink Floyd脱退後にリリースした4枚のソロアルバムと2000年に行ったツアーを収録したライブCDとDVDが収録されています。全部で7CD+1DVDという大盤振る舞いです。そして、なにより気になるのはその価格!なんとこれだけ収録してあって3000円以下で購入できます!タワレコなどの大型CDショップで買おうとすると7000円くらいの値段がしたはずなので、amazonなどのネットショップを利用する事をおすすめします。実際、本国イギリスやアメリカでは日本円に換算して2000円〜3000円ほどで売られているようなので、amazonなどの方が正規の値段に近いってことですね。
では、収録アルバムを見ていきましょう。今回は写真の2段目中央に写っているアルバムからご紹介します(左上に写っているのはCDではなくBOXのブックレットなので関係ないです)。


・「The Pros And Cons Of Hitch Hiking」(邦題:ヒッチハイクの賛否両論) リリース:1984年


このアルバムは、ロジャー・ウォーターズがフロイドを脱退後、最初にリリースしたソロアルバムとして有名です(彼のソロアルバムの処女作自体はフロイド在籍時の1970年に発表した「肉体(ボディ)」という作品です)。録音にはあのエリック・クラプトンがギターで全面的に参加しており、アルバムでも随所に彼の味あるギターフレーズを聴く事が出来ます。特にアコギでそれが顕著ですね。スライドギターが生々しいです。

そんなアルバムですが、内容ははっきり言って結構暗いです。まぁ、ロジャー・ウォーターズはフロイド末期からその傾向が顕著でしたが、それをもっと暗くした感じです。このアルバムコンセプトは「精神を患った青年が午前4:30から5:11の間に見る夢を聴き手と同時進行に表現する」という難解なものであり、決して心地よい朝を迎えられそうな内容ではありません・・・。 実はこのアルバムには裏話があり、フロイド在籍時、「Animals」ツアーを終えて次のアルバム制作に取りかかった1979年、ロジャーは次回作のアルバムコンセプトとしてこの「ヒッチハイクの賛否両論」と「The Wall」二つの案をメンバーに提示しています。結果的に「The Wall」案の方が採用され、それは後期フロイド最大のヒット作としてロック史に名を残す事になりました。そんなある意味「ボツ案」を再び掘り起こして自分のソロアルバムとしてリリースした訳です。よっぽど本人が気に入っていたようですね。

サウンドはロジャーのソロアルバムにはおなじみですが、女性コーラス隊やSEを随所にちりばめながら、耳元でささやくようなロジャーの不気味なボーカルが響いてくる感じで、そこにクラプトンのギターを中心とした楽器隊が上手く乗っかっています。これはさすがといったところ。後にロジャーが出す別のソロアルバム「死滅遊戯」におけるジェフ・ベックの起用もそうですが、ロジャーは、名ギタリストの味を壊す事なく自分のアルバムコンセプトを忠実に再現させるのが上手いなぁと僕は感じます。やはりこれはフロイド時代にデヴィッド・ギルモアという名ギタリストと常に一緒にいた事も関係しているんでしょうかね?アルバム全体を包むどんよりとした雰囲気を上手くクラプトンのギターが手伝っています。そして同時にこれらの暗い曲達をなんとかギリギリメロディアスなものにしているのもクラプトンによるところが大きいです。ポップさははっきり言って皆無ですが、まぁ、ロジャー・ウォーターズのソロアルバムにそんなものを求めている人もまずいないでしょう。

各曲のクオリティは、ロジャーのソロアルバムにありがちな「酷い駄曲も見当たらない代わりにこれといって抜きん出た良曲もないかなぁ」という感じです。というよりアルバム全体で見た時の構成力の高さが凄いという感じで、個々の楽曲ではそもそも勝負すらしていないような印象すら受けます。実際全部聴き終えてみると、アルバムの内容上、少々疲れは感じるのですが、映画を一本見終わったような充実感を感じますwww


フロイドの有名アルバムを一通り聴いて、メンバーのソロ活動にも興味がでてきたら、おすすめですね。特にコンセプトアルバムが好き!という方には、ロジャー・ウォーターズは決して外せないアーティストの一人と言えます。